●○ バーチャンの書評 2004 ○●

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 丸一年前に読んだ本は忘れてますが、読んだ直後に書いたメモを残しているので、かろうじて分かります。総数は190冊あまりでした。
 まずはベスト10。毎月紹介したものは、1冊しか出てきません。全体を見直した場合と、その時々で方針を考えたものとでは違いますねぇ。こいつらには写真は不要でしょう。なるべく小説の類を残そうと努力したのですが、そううまくはいかない。
 ワーストではなく、トホホ10選をつけました。別にこき下ろしたくて選んだわけではなくて、もし読むのならどう感じたのか教えて欲しいと思う、そんなトホホとトンデモと。読んだ後、トホホというしかなかったものです。

バーチャン@馬場泰

Best10
●太平洋戦争日本海軍戦場の教訓 半藤一利/秦郁彦/横山恵一
ちょっと古いけど。
ミッドウェー海戦などの「常識」を見直す本。陸軍と海軍にしても、結局は総無責任体制だったことに違いはないと。
●指輪物語10(追補編) J・R・R・トールキン
これがないと、物語がまるで理解できていないということすら分からない。
そういう意味では必須のもの。
●ローマ人の物語IIハンニバル戦記 塩野七生
なぜ戦ったのか、どう戦ったのか、どう終わったのか。カルタゴと日本を重ねるということの無意味さも分かる。ローマの強さも分かる。
●全地球凍結 川上紳一
TVでもやったらしい、アイスボール仮説。仮説と論証について、知的好奇心を満足させる、科学的な態度というものを知らしめるもの。
●ナンセンス・カタログ 谷川俊太郎/和田誠
日本語そのものを楽しむための本。詩もイラストもすばらしい。こういう信頼できる組み合わせがあるというのが安心。
●フルハウス生命の全容 スティーブン・グールド
進化の見方。人間という形態が単なる一つの結果でしかないということ。
これが欧米文化では理解できてないということらしい。日本でも同じか。
●トンデモ科学の見破り方 ロバート・アーリック
怪しげな説も含めて、まじめに検証して信憑性を評価したもの。しかし、トンデモの方はやりたい放題だから、真面目にうち消すのは大変な苦労がいる。
●本当の戦争の話をしよう ティム・オブライエン
ベトナム戦争の体験を淡々と綴った短編集。賛美するでもなく、反戦をブチ上げるでもなく。
●観光旅行 デイヴィッド・イーリイ
ハプニングを演出した怪しげな観光旅行が、いつのまにか南米小国の軍事演習とからまって。ずれていくのは主題ではなく、登場人物の生き方そのもの。
●百億の星と千億の生命 カール・セーガン
人類とその未来について、現在の問題とその解決方向を示す。人類への信頼と愛があふれた著者の人格がまぶしい、絶筆。

トホホ10選
●追いつめられた天使、ほか ロバート・クレイス
私立探偵もの。むちゃくちゃ強いテコンドーの達人で、もっと強い友人がいて、しかも警察に強いコネがあって。これだけ恵まれてればトホホ。
●ザジングルズ  スティーブ・ウォーカー
世界中の言語が一つの言語から枝分かれしてできたという驚天動地の大理論。
2万年前に英語と別れた日本語は不利だそうだ。これはスゴイ、トホホ。
●プレイ マイケル・クライトン
ベストセラー連発の昔、ジュラシックパークもタイムラインも、スフィアもみんな面白かったんだけどねぇ、と懐かしくなる、トホホ。
●超テク 日経産業新聞編
最新=ハイテクを次から次に出して説明してくれるのはいいのだが、どれもこれも既出。きっと新聞連載中は良かったんだろうねぇ、トホホ。
●見渡せば柳さくら 丸谷才一/山崎正和
博学多才で痛烈なる批判精神をもち、なおかつ日本文化を理解し擁護することにかけて最右翼。それ以外については無知で傲慢なんだ、トホホ。
●プラムアイランド ネルソン・デミル
暴力警官が容疑者をいきなり射殺したり半殺しにしたりする。この暴力沙汰が好きな人にはたまらないらしいが、おぞましいだけ、トホホ。
●悪魔の参謀 マレー・スミス
ひたすら登場人物を紹介し続けるだけのストーリーと、最期は疲れて全員を殺す終わり方が。フォーサイスのおもしろさを再確認できる、トホホ。
●直観でわかる数学 畑村洋太郎
畑村先生には何の罪も恨みもありません。これだけの本を書いて説明しないと今の学生には数学のイメージがわかないのかと思うと、トホホ。
●エトランジェ伯爵の危険な初恋 ステラ・キャメロン
何これ、ソフトコアXXXじゃないか。筋も何もあったもんじゃない、男が読んじゃいけないトホホ
●50歳からの仏教入門 ひろさちや
小乗仏教と現代社会と会社組織とサラリーマンと科学と合理精神と無神論と無宗教の否定。でも否定だけじゃ何もうまれないのよ、トホホ。