附中の誰も知らなかった秘話 その2 (投稿者:3−3 大場)

それはある日の体育の授業のことだった。
毎回、体育の授業は始まるまで何があるかは生徒には知らされておらず、永山先生が授業開始の際に「今日はバレーボールをする」とか「今日はマラソン」とか言うのが恒例だった。

僕たちは「今日はなんやろーかねー」とか言いながら運動服に着替えて、体育館に集合し体操座りをして先生の言葉を待っていた。

永山先生曰く、「今日はみんなの好きな附中体操をする」。

卒業生にはあまり知られていないことだが、カツが考案した附中体操は今も運動会や体育の授業で行われていて、永山先生の名は今の附中の先生でも知られているのである。

永山先生はその当時はその体操のことを「ズンドコ体操」と言っていた。それは、托鉢のお坊さんが使うような太鼓のようなものをたたきながら、合図にしていたからだった。

永山先生は自分の考案したズンドコ体操にはかなりの自信作という自負があり、体操業界(そんなものがあるかどうかは知らないが)でも、一目も二目もおかれていたようだ。

それで、生徒にもかなりの威厳をもって「今日は附中体操」と言ったところ・・・・、
ある生徒が「ウエー、附中体操かー」と思わず口走ってしまった。
それは僕の記憶ではたしか三浦哲治くんだったと思う。

永山先生も自信作に「ウエー」では黙っているはずがない。
「三浦!ワイはかっちぇーん!」と言って三浦くんを体育館の外に出し、戸ごピシャリと閉めてしまった。
三浦くんは1時間のズンドコの音を体育館の戸の間から聞きながら体育の授業を終えた・・・。

僕の息子や娘の附中の運動会の時に体育館でお昼ごはんを食べる時は必ず思い出す秘話である。
体育館の戸の前に三浦くんの涙のあとがあるような気がするのは僕だけだろうか?

「かっちぇる。かっちぇん。かっちぇて」で思い出した話でした。